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起立負荷の結果をどう読み解くか ― 論文から探る自律神経の反応性

安静では見えない「立ち上がる力」。
起立負荷による心拍変動(HRV)の変化を観察すると、自律神経の“反応性”が見えてきます。
しかし、どのような反応が「良い反応」で、どんなパターンが疾患や不調と関連しているのか――
臨床や研究の現場で判断に迷うことも多いものです。
ここでは 安静・起立・過剰反応 の3つの視点から、国内外の代表的な研究論文をもとに「起立負荷の結果をどう読み解くか」を考えてみましょう。

目次

安静時のHRVが低下している時

安静時HRV(CVRR, HFなど)が低い場合、迷走神経の働きが低下し、慢性的なストレスや代謝疾患の影響を反映していることがあります。

傾向 主な関連疾患・状態 文献例
HF低下・SDNN低下 うつ病、不安障害、糖尿病、高血圧、慢性心不全 Kemp AH, Biol Psychol, 2010(Meta-analysis)Kemp AH, Psychol Med, 2019(Meta-analysis)
HRV低値+日内変動減少 睡眠障害、慢性ストレス、交感優位 Vinik AI, Diabetes Care, 2010

「低HRV」は年齢変化でも見られますが、同年代比較で明らかに低値の場合は“予備力の低下”を示します。
起立時の反応も鈍化しやすく、慢性疲労や代謝性ストレスの指標として注目されています。

安静時のHRVが高値・変動過大 の時

安静時にHRVが高すぎる(HF↑, LF低下, SDNN過大)ケースでは、
副交感神経が過緊張状態にあり、小さな刺激でも心拍が大きく揺れる「高ゲイン状態」を示すことがあると言われています。
このような高迷走トーンは、VVS(神経調節性失神)や失神素因の背景として報告されています。

傾向 主な関連疾患・状態 文献例
安静HRV高値 起立試験中にアシストール(心停止型VVS)を起こす素因 Barbic F et al., Front Cardiovasc Med, 2019
HF高値 小児〜思春期VVS。HF高・LF低で安静時から迷走優位の傾向 Chen L et al., Front Neurol, 2014

安静時HRVが高い=「副交感神経が効きすぎている」状態。
起立時に交感反応が遅れやすく、“高ゲインで不安定”なパターンを示すことがあります。
若年女性のVVS素因や過換気体質でもみられる傾向のようです。

起立時の反応の異常

起立ではでは通常、心拍上昇(HR↑)・HF低下・LF/HF上昇が起こります。
この変化が小さい、または遅い場合の「反応性の鈍化」や起立直後の交感反応が一時的に過剰となったあと、HF・LF/HFなどの指標が急激に低下したり、変動が不安定になる場合など自律神経制御の失調の示唆と疾患などとの関連論文がみられます。

  • 閉経後女性は能動起立で自律神経反応が鈍化(Scatà 2024, Frontiers in Cardiovascular Medicine)。PMC+1

  • 1型糖尿病では起立テストでSBP高値・交感反応↑(早期CAN示唆)(Sorola 2024/2025, Clin Auton Res)。スプリンガーリンク+2springermedizin.de+2

  • パーキンソン病でHUT後の血圧調節異常がMIBG低下と関連(Katagiri 2015)。Wiley Online Library

  • 長期HDTベッドレスト後に起立不耐出現、HRV適応度だけでは説明不能(Liu 2015)。PubMed

  • HDTでHRVが経時的に適応(npj Microgravity 2025)(臥床→起立耐性低下の背景理解に有用)。サイエンスダイレクト

  • 思春期POTSでHUT時の副交感トーン低下をHRVが描出(Orjatsalo 2020)。Frontiers

  • 圧迫介入でHUT時の交感亢進(Stress Index等)が抑制(Oyake 2024, Front Physiol)。PMC

  • 起立性低血圧のBPパターン別に自律検査結果が異なる(Seok 2018, J Clin Neurol)。Physiology Journals

  • 起立性高血圧の臨床的位置づけ(Hypertension 2020 レビュー)。PMC

  • 高齢者でOHとHRV低下・血管硬化の関連(Front Cardiovasc Med 2020)。Frontiers

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