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心拍変動解析と起立負荷試験の原点:Paganiらによる研究

こんにちは!こころです。
AIと一緒に、研究に役立つ心拍変動解析の情報をお届けしています。
今回紹介する論文は、心拍変動(HRV)と血圧変動のパワースペクトル解析を用いて、交感神経と副交感神経の相互作用を評価した画期的な研究です。Paganiら(1986年)のこの研究では、人間と意識のある動物を対象とした比較実験を通じて、β遮断薬の投与やヘッドアップティルト試験(起立負荷)が心拍変動に与える影響を詳細に解析しています。この結果、LF/HF比が自律神経バランスの敏感な指標であることが明らかになりました。
クロスウェルの心拍変動解析ソフト「きりつ名人」を使った研究においても、この論文は方法論や結果解釈の貴重な参考資料として役立ちます。特に、起立負荷試験で得られるデータの解析や解釈において、この論文の知見が活用できます。
ぜひこの論文を参考にして、自律神経研究に役立ててください!

ヒトおよび意識下の犬における交感神経-迷走神経相互作用の指標としての心拍数および動脈圧変動のパワースペクトル解析

英語: Power Spectral Analysis of Heart Rate and Arterial Pressure Variabilities as a Marker of Sympatho-Vagal Interaction in Man and Conscious Dog
日本語: ヒトおよび意識下の犬における交感神経-迷走神経相互作用の指標としての心拍数および動脈圧変動のパワースペクトル解析
ジャーナル名 & 出版年 (Journal Name & Publication Year):
Circulation Research, 1986年
第一著者 & 最終著者 (First and Last Authors):
First Author: Massimo Pagani
Last Author: Alberto Malliani
第一所属機関 (First Affiliations):
Istituto Ricerche Cardiovascolari, Milano, Italy
要約 (Abstract):
この研究では、健康なヒト被験者57名と意識下の犬を対象に、心拍数(R-R間隔)および動脈圧の変動に関するパワースペクトル解析を行いました。低周波(LF, ~0.1 Hz)と高周波(HF, ~0.25 Hz)の主要な成分を同定し、LF/HF比が自律神経バランスの指標として機能することを示しました。交感神経の関与は主にLF成分に、迷走神経の関与はHF成分に関連付けられることが分かりました。
背景 (Background):
心拍変動は自律神経系の活動を反映する生理学的指標として認識されています。本研究は、スペクトル解析を使用して交感神経と迷走神経の活動を定量化する試みです。
方法 (Methods):
ヒト: 健康な成人57名(20〜60歳)を対象に、安静時、起立時、制御された呼吸、およびβ遮断薬投与後の心拍変動を測定。
犬: 意識下で動脈圧を高精度で記録し、星状神経節切除後の変化を評価。
結果 (Results):
安静時には、LF成分とHF成分が確認され、起立時にはLF成分が優勢となり、LF/HF比が大幅に増加しました。
犬においては、交感神経活動の刺激によりLF成分が増加し、星状神経節切除後にはR-R間隔のLF成分が消失しました。
考察 (Discussion):
パワースペクトル解析は、自律神経バランスの評価における有用な手法であり、特にLF/HF比が交感神経と迷走神経の相互作用を反映していることを示唆します。

*この論文は、権威あるジャーナルへの掲載、著者の専門性、厳密な方法論、多くの引用、そして結果の再現性の高さから、信頼性が非常に高いと評価できます。HRV解析の基礎として、現在も研究者や臨床医によって広く使用されています。

本論文の起立試験の手法と結果について詳しく・・・

1. 実験手法 (Methods):
被験者:
20歳から60歳までの健康な成人被験者57名が対象。全員が臨床的に健康で、喫煙やカフェイン、アルコール摂取を控えるよう指導を受けていました。
装置:
被験者は電動式の起立台(90度まで傾斜可能)に配置されました。心電図(ECG)および動脈圧を連続的に記録しました。
手順:
安静状態で15~30分間の安定化後、30分間の記録を行いました。
続いて、台を90度に傾けた状態で20分間の記録を実施。
動脈血圧は各状態の開始時と終了時にスフィグモマノメーターで測定されました。

2. 結果 (Results):
R-R間隔:
起立(Tilt)時には、R-R間隔の平均値が有意に減少(心拍数増加)しました(例: 安静時748±20 ms → 起立時633±29 ms)。
パワースペクトル成分:
低周波成分(LF, ~0.1 Hz):
起立時にLF成分が顕著に増加し、全変動の73.4±8.6%を占めました(安静時41.2±8.7%)。
高周波成分(HF, ~0.25 Hz):
起立時にはHF成分が減少し、全変動の7.4±1.9%を占めました(安静時19.4±5.3%)。
LF/HF比:
LF/HF比は起立時に劇的に増加し、安静時の3.6±0.7から21±4に達しました。

3. 考察 (Discussion):
起立に伴う心拍変動の変化は、交感神経の優位性が増加することを示しています。
特にLF/HF比の増加は、交感神経活動の指標として解釈されます。

4. 再現性:
10名の被験者で1週間から12か月後に再試験を行い、結果が一貫していることが確認されました​​​。
この詳細は、交感神経-迷走神経バランスを評価する重要なデータとして臨床研究や診断で広く活用されています。

※AIツールであるConsensus(研究論文の要約)とPaper Interpreter(Japan)(日本語での論文解釈)を活用して作成しました。原文をご覧ください。

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