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PVTのパフォーマンス指標の比較

こんにちは!こころです。
こころの論文ナビでは、AIと一緒に心拍変動解析や自律神経研究に役立つ情報をお届けしています。今回は、自律神経と関連性が深いPVT検査(Psychomotor Vigilance Test)の論文をご紹介します。
PVT指標の評価がされていますので是非参考にしてください。
原文へのリンクも用意していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

目次

論文概要

Maximizing Sensitivity of the Psychomotor Vigilance Test (PVT) to Sleep Loss
日本語タイトル: 睡眠不足に対する精神運動覚醒検査(PVT)の感度の最大化

ジャーナル名および発行年: SLEEP, 2011年, 第34巻, 第5号
筆頭著者および最終著者: Mathias Basner, David F. Dinges
最初の所属機関: Division of Sleep and Chronobiology, Department of Psychiatry, University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, PA

要旨
精神運動覚醒検査(PVT)は、行動的覚醒度を評価する上で最も広く用いられる手法の1つですが、PVTの性能結果や試験時間において研究間のばらつきが大きい。本研究では、PVTの標準化を促進し、睡眠不足に対する感度と特異度を高めるため、睡眠不足状態の被験者と覚醒状態の被験者を最適に区別するPVTの指標とタスク時間を決定した。結果として、反応速度とラプス(注意の欠如)に関する指標が優れた統計特性と高い感度を示した。

背景
睡眠不足が認知機能に及ぼす影響は広く認識されており、注意力、特に10分間のPVTによって測定される覚醒注意力に顕著な影響を与えることが知られている。本研究は、PVTの特定の指標が睡眠不足状態をどの程度効果的に識別できるかを体系的に評価するものである。

方法
被験者: 健康な成人74名(22~45歳、女性34名)。
実験デザイン: 繰り返し測定法を用いて、急性全睡眠剥奪(TSD)および慢性的部分睡眠剥奪(PSD)条件で、2時間ごとに10分間のPVT評価を実施。
指標: 10種類のPVTパフォーマンス指標(例: ラプスの数、平均反応速度、最も遅い10%の反応速度など)。

結果
効果量の比較:
急性TSDでは、ラプス数と反応速度(平均1/RT)が最も高い感度を示した(効果量1.86~1.94)。
PSDでも同様に、ラプス数と反応速度が高い感度を示した(効果量0.88~1.21)。
短時間のPVTの可能性:
10分より短いPVTでも、高い感度を示すことが可能であることが示唆された。

評価されたPVT指標

評価されたPVT指標
10種類のPVTパフォーマンス指標が評価されました。それぞれの指標が睡眠不足状態と覚醒状態をどの程度効果的に区別できるか、効果量(effect size)で比較されています。

評価対象の指標:

  1. Number of Lapses (ラプス数)
    • 反応時間が500ms以上の場合を「ラプス」と定義。
    • 睡眠不足状態ではラプス数が大幅に増加。
  2. Number of Lapses and False Starts (ラプス+誤スタートの数)
    • ラプスに加え、刺激がない状態での誤反応も含めた指標。
    • 最も高い効果量を示した(特にTSDで効果量=1.94)。
  3. Mean RT (平均反応時間)
    • 全ての反応時間の平均。
    • 極端な値の影響を受けやすく、感度は他指標と比べて低い。
  4. Median RT (中央値反応時間)
    • 中央値を基準とする反応時間。
    • 極端な値の影響は少ないものの、効果量は比較的低い。
  5. Mean 1/RT (平均逆数反応速度)
    • 反応時間の逆数(1/RT)を用いた平均値。
    • 極端な値の影響を軽減しつつ、微小な変化にも敏感。
    • TSDでの効果量=1.93、PSDでの効果量=1.21と非常に高い感度を示した。
  6. Slowest 10% 1/RT (最も遅い10%の逆数反応速度)
    • 最も遅い10%の反応時間を逆数化して平均化。
    • TSDでの効果量=1.86、PSDでの効果量=1.11と高感度。
  7. Fastest 10% RT (最も速い10%の反応時間)
    • 最も速い10%の反応時間の平均。
    • 高速な反応に特化した指標。
  8. Lapse Probability (ラプス確率)
    • 全刺激数に対するラプスの割合。
    • TSDでの効果量=1.59、PSDでの効果量=0.88。
  9. Number of False Starts (誤スタートの数)
    • 誤反応(刺激なしでのボタン押し)の数。
    • PSDで感度が低かった。
  10. Performance Score (パフォーマンススコア)
    • ラプス数と誤スタート数を考慮したスコア化指標。
    • スコアが100%で完璧なパフォーマンスを示し、0%で最悪の状態。

効果量の比較結果

  • 急性睡眠剥奪(TSD)での効果量:
    最も高い感度を示した指標は以下の通り。
    1. Number of Lapses and False Starts: 効果量=1.94
    2. Mean 1/RT: 効果量=1.93
    3. Number of Lapses: 効果量=1.86
  • 慢性部分睡眠剥奪(PSD)での効果量:
    最も高い感度を示した指標は以下の通り。
    1. Mean 1/RT: 効果量=1.21
    2. Fastest 10% RT: 効果量=1.13
    3. Slowest 10% 1/RT: 効果量=1.11

※AIツールであるConsensus(研究論文の要約)、Paper Interpreter(Japan)(日本語での論文解釈)を活用して作成しました。原文をご覧ください。

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精神運動覚醒検査(Psychomotor Viglance Test:PVT)はPVT睡眠不足や生活リズムの乱れ、長時間作業などに伴う疲労に関連した注意力の変化を客観的に評価するための検査です。PVT名人はPVTソフトと自分が感じている精神的疲労度・肉体的疲労度を評価するVASもソフトの中に搭載しています。

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