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抑うつ症患者の職場復帰支援におけるHRV解析の活用

こんにちは!こころです。
AIと一緒に、研究に役立つ心拍変動解析の情報を発信に心がけています。
今回は、「抑うつ症の患者さんが職場復帰を目指す際に、心拍変動(HRV)解析をどう活用できるのか?」について、最新の研究をご紹介します。
この研究では、心拍変動の解析を通じて、復職が成功しやすいタイミングを予測する方法が検討されています。
原文では、HRV解析の測定方法や判別分析の結果が説明されています。
参考になりそうだと感じたら、ぜひリンクから原文を確認してみてくださいね!

抑うつ患者の心拍変動指標を用いた線形判別分析による職場復帰スクリーニング

タイトル
eturn-to-Work Screening by Linear Discriminant Analysis of Heart Rate Variability Indices in Depressed Subjects
ジャーナル名と発行年:
Sensors, 2021
筆頭著者と最終著者 (英語):
Toshikazu Shinba, Takemi Matsui
最初の所属機関 (英語):
Department of Psychiatry, Shizuoka Saiseikai General Hospital
概要 (Abstract):
この研究では、心拍変動(HRV)指標の線形判別分析を用い、抑うつ症患者の職場復帰の可能性を評価するために、自律神経測定の有用性を検証した。復職予定の際に、患者のHRVがウェアラブル心電図デバイスで測定された。1か月後の復職結果を基に、過去の30人のデータを使用して判別関数を作成し、52人の新たな患者に適用した。感度は95.8%、特異度は35.7%で、正常なHRVは成功する復職に必須であることが示唆された。一方で、他の要因も復職結果に影響を与える可能性が指摘された。
背景:
抑うつ症による休職後の職場復帰は治療の重要な目標であり、適切な復帰が回復を維持するために必要不可欠とされる。過去の研究では、HRVが抑うつ症患者の復職成否を予測する有用な指標であることが示唆されている。本研究では、HRV指標を用いて線形判別分析を行い、その有用性を検証した。
方法:
参加者: DSM-5基準に基づきMDDと診断された患者82人(過去のデータ30人、新規データ52人)。
測定: HRVは小型のウェアラブル心電計を使用して測定。測定は安静、課題、課題後の3つの条件で実施。
解析: 判別関数を作成し、復職の成功(元の業務継続)と失敗(再休職、辞職等)を判別。
結果:
判別関数は感度95.8%、特異度35.7%を示した。成功者のHRV指標は安静時HFが高く、LF/HF比が低いなど正常範囲であり、失敗者は異常が残存していた。
考察:
HRV指標は、抑うつ症患者の復職可能性を評価する上で有用な生物学的指標となる。ただし、特異度の低さは、個人や環境の要因が復職成否に影響を与えることを示唆する。今後は、心理的指標や職場環境の要因を統合した解析が必要とされる。

方法をもう少し詳しく・・・

クロスウェルと同じ最大エントロピー法で解析しているよ。

装置設置: 患者は椅子に座り、胸部に装置を装着。適応期間として少なくとも5分間の安静をとった後、測定を開始。
測定条件: 測定は3つの異なる状態で実施されました:
安静時(Rest): 患者は可能な限りリラックスした状態で約60秒間座る。
課題時(Task): 患者はランダムな数字生成課題を100秒間実施。この課題では、0から9までの数字を1Hzのリズムで口頭で生成。集中が求められる課題。
課題後の安静時(After): 課題終了後に再度リラックス状態を60秒間記録。
データ処理: 心電図からR-R間隔を抽出し、不要なデータ(外れ値など)を除外。最大エントロピー法を用いてスペクトル解析を実施。

心拍変動解析結果

成功した復職者:
安静時HFが高い→副交感神経優位でリラックス状態が維持。
課題時HFが低下→ストレス負荷に対する適切な反応性。
LF/HF比が安静時に低い→交感神経活動が適度に抑制され、バランスが良い。
課題後にはHFが上昇し、正常な回復傾向を示す。
復職に失敗した者:
安静時HFが低い→副交感神経の活動が低下。
課題時HFがあまり低下しない→ストレス負荷に対する反応性が低下。
LF/HF比が安静時に高い→交感神経優位の状態。
課題後の回復が不十分で、HRV指標の正常化が見られない。
全体の観察:
タスク/安静比と課題後/安静比:
成功した復職者では、タスク条件下での変化が大きく、課題後に迅速に正常値に戻る。
失敗者では、タスク時や課題後の変化が乏しく、自律神経の調整機能が弱い。
この結果から、成功した復職には適切な自律神経の反応性と回復能力が重要であることが示唆されます。

※AIツールであるConsensus(研究論文の要約)およびPaper Interpreter(Japan)(日本語での論文解釈)を活用して作成しました。原文をご覧ください

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今までは「推測」するしかなかった自律神経の機能を客観的に測定し、示すことで、自己理解を促進し、積極的にストレス問題に取り組む姿勢を支えることができます。
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特に休職療養者は「休んでいるにも関わらず疲れやすい,だるい」と訴えること
が多く,しかもその原因を自分に求めてかえって辛くなってしまう方が多くいらっ
しゃいます。そのような方々に体験していただくと,「自分の疲れやすさはここに
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