第2回臨床自律神経機能Forum
■三井実,河野克典,小村晃雅,尾崎夏穂,飯田靖,堀田竜士
富士ゼロックス株式会社 研究技術開発本部 コミュニケーション技術研究所
【目的】 自律神経の評価は,個人の健康を支援する目的で実施されることが多かった.一方,自律神経は外界からの多様な刺激に対して反応を示す特徴があるため,自律神経を指標とした評価は,個人の健康のみに捉われない幅広い用途に活用できる可能性がある.
本稿では「コミュニケーションの評価指標として自律神経を活用できる」という仮説を試験的に検証した.
【方法】 ある企業で実施された対話ワークショップにおいて,参加者 8 名に自律神経測定センサー(ユニオンツール社 My Beat)を装着させ,対話ワークショップ中の参加者の自律神経活性度の時系列データを取得した.ワークショップ後,参加者 1 名(参加者 A とする)に,対話ワークショップ時に撮影した映像を視聴させ,対話ワークショップ中の自己の状態を主観評価してもらった.これら 2 つのデータを参照し,対話ワークショップ中の自律神経活性度の変化と,参加者の主観評価との間に何らかの関係があるかどうかを検証した.
【結果】 参加者 A 個人の自律神経活性度と主観評価の結果を図 1 に示す.参加者 A が①傾聴・共感している,②他者との関係を意識しながら話をしている,と評価しているタイミングにおいて,自律神経活性度が高まる傾向があることが分かった.
【考察】 対話ワークショップ中の自律神経活性度と参加者の主観評価との間に,何らかの関係があることが示唆された.今後は,自律神経に関わる様々な特性値とコミュニケーションの関係を明らかにしていく.
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