MENU

心拍変動に基づく脊髄損傷後の自律神経過反射の予測研究

こんにちは!こころです。
AIと一緒に、心拍変動(HRV)に関する最新研究をお届けします!
今回は「HRVで自律神経過反射(Autonomic Dysreflexia:AD)を予測できるか?」を調べた研究をご紹介。
脊髄損傷(SCI)のある方24名を対象に、膀胱検査中のHRV変化を分析し、ADの予兆を高精度で捉える方法が提案されています。
この研究では時間領域の解析のみが使われていますが、Reflex名人ならリアルタイムの周波数解析も可能!
これからの研究や臨床応用に、ぜひご活用いただけたら嬉しいです。

目次

論文概要

Heart Rate Variability-Based Prediction of Autonomic Dysreflexia After Spinal Cord Injury
心拍変動に基づく脊髄損傷後の自律神経過反射の予測

ジャーナル名・発行年

Journal of Neurotrauma, 2024年1月

第一著者・最終著者

第一著者:Martín Calderón-Juárez
最終著者: Andrei V. Krassioukov

所属機関(第一著者の所属)

International Collaboration on Repair Discoveries, Faculty of Medicine, University of British Columbia, Canada


要旨(Abstract)

自律神経過反射(AD)は、脊髄損傷(SCI)後に一般的に見られる突然の血圧上昇を伴う自律神経合併症である。本研究では、24名のT6以上の完全感覚運動麻痺のSCI患者を対象に、UDS中に心拍変動(HRV)を用いてAD発症を予測する試みを行った。SDNNとRMSSDは膀胱充満の初期に減少し、AD発症時に急激に増加した。SDNNの最低点からADのSBPピークまでの時間(中央値240秒)を用いて、ADイベントを高い感度(0.667)と特異度(0.875)で予測可能であった。


背景(Background)

ADは主に膀胱の膨張など下部尿路刺激によって誘発され、血圧上昇と徐脈を引き起こす。ADの予測は困難であり、従来の方法では発症前の検出は不可能だった。HRVは自律神経系の活動を反映する指標として注目されている。


方法(Methods)

・24名のT6以上の完全麻痺SCI患者を対象に、UDS中のECG信号を1秒ごとに更新される60秒のウィンドウで解析。
・計算指標:meanNN、SDNN、RMSSD
・ROC解析によりSDNNおよびRMSSDのAD予測性能を評価


結果(Results)

  • AD前の膀胱充満期にSDNNとRMSSDは低下し、AD発症時に増加
  • SDNNの最低点からADのSBPピークまでの時間中央値は240秒(172–339秒)
  • SDNN:AUC = 0.811、カットオフ値 ≤39.46ms(感度0.667、特異度0.875)
  • RMSSD:AUC = 0.668、カットオフ値 ≤20.03ms(感度0.625、特異度0.708)

考察(Discussion)

  • 膀胱充満時の交感神経活動増加(SDNN低下)に続き、AD時には副交感神経活動が増加(SDNN・RMSSD上昇)する。ADは交感神経の過剰刺激後に副交感神経が優位になる現象である。

過去の研究との新規性(Novelty compared to previous studies)

  • UDS中のリアルタイムHRV解析によってADを事前予測した初の試み
  • 交感神経活動のピーク(min SDNN)を用いたタイミング予測が高精度であった点が新規

限界(Limitations)

  • サンプルサイズが24名と少なく、個体差も大きい
  • 周波数領域でのHRV解析ができない(UST法の制約)
  • 日常生活環境での適用性は未検証

潜在的な応用(Potential Applications)

・UDS時だけでなく、日常生活の膀胱管理やAD予防策(例:脊髄刺激療法)と連携可能なモニタリングツールの開発に貢献
・非侵襲的かつリアルタイムなAD予測システムの基盤技術としての活用

※AIツールであるConsensus(研究論文の要約)、Paper Interpreter(Japan)(日本語での論文解釈)を活用して作成しました。原文をご覧ください。

Reflex名人ではリアルタイムに周波数・時間領域解析

Reflex名人では、30秒間のデータを用いて、1拍ごとに更新しながらリアルタイムに周波数解析を行うことが可能です。

参考になったら いいいね

目次