女性ホルモンと自律神経

「第2回臨床自律神経機能Forum 抄録」

■内田さえ (東京都健康長寿医療センター研究所 自律神経機能研究室)

女性ホルモンは左右一対の親指くらいの大きさをした約6gの卵巣で作られています。女性ホルモンのうちエストロゲンが女性の第二次性徴の発現や卵胞の発育などの生理作用を持つことは良く知られていますが、それに加えて骨を強くしたり、血管壁をゆるめ、コレステロールを下げる働きをもち、心臓血管系の疾患を防いでいます。脳の認知機能を維持する作用も知られています(表)。エストロゲンの多様な作用は、老年期も含めて一生涯にわたって脳と身体の健康維持に働きます。
身体にストレスがかかるとエストロゲン分泌は低下します。卵巣からのエストロゲン分泌は、視床下部-下垂体系のホルモンにより制御されています。ストレスは視床下部に影響をおよぼすことにより、卵巣からのエストロゲン分泌を低下させると考えられています。一方、ストレスは交感神経活動を高めることも知られています。交感神経は心臓などの種々の内臓に分布するだけでなく、卵巣にも分布しています。私どもはストレスで交感神経活動が高まった際には、その影響が卵巣にも及ぶのではないかと考えました。しかし、卵巣に分布する交感神経がどのような働きをもつか分かっていませんでした。
そこで私どもは麻酔動物を用いて調べ、身体的ストレスが卵巣からのエストロゲン分泌を低下させることを見出しました。さらに、身体的ストレスによる卵巣支配交感神経活動の亢進が、エストロゲン分泌低下を引き起こすことを明らかにしました(図)。本発表では、卵巣のエストロゲン分泌の交感神経性調節に関する研究結果を紹介します。さらにエストロゲンの慢性投与が交感神経性のエストロゲン分泌調節に及ぼす影響についての研究結果も紹介します。

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