第2回臨床自律神経機能Forum

■鳥羽梓弓 石川譲治 原田和昌(東京都健康長寿医療センター)

【背景】
高齢者では、起立性低血圧や起立性高血圧の頻度が高くなり、また心血管イベントとの関連も報告されている. フレイルは要介護や寝たきりの前段階であるが、フレイルの高齢者に対する降圧療法は起立性低血圧の増加などが懸念されるため議論の余地があるところである.そこで、我々はフレイルと起立時の血圧変動の関連性について調べた.
【方法】
フレイル外来に通院中の連続186名に対して体位変換による血圧変動を調べた.(きりつ名人、クロスウェル社)フレイルは厚生労働省作成の基本チェックリストにて調査し、合計8点以上をフレイルと診断した.基本チェックリストのうち、運動器関係に関する点数を計算した.
結果:患者の平均年齢は77.6±6.8歳(男性40.5%)で75%の患者が高血圧であった.186名の患者のうち、28%がフレイルの診断を満たした.フレイルの患者では年齢が高く、血清アルブミン値が有意に低値であった.体位変換に伴う血圧変動は、非フレイル群に対してフレイル群では安静座位血圧が有意に低く(135.8±21.0 vs 128.6±20.2mmHg, p=0.033) 起立直後の血圧低下が有意に少なく(-6.1±11.6 vs 0.8±11.4mmHg, p=<0.001)起立1分後に有意な血圧上昇が認められた.(2.9±12.1 vs 8.2±11.5mmHg, p=0.008)起立直後、起立1分後の血圧変動は基本チェックリストの総合点数とは相関がなかったが、運動器関連の点数と相関していた.起立直後、起立1分後の血圧変動は 年齢、性別、Body Mass Index、飲酒、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、降圧剤の内服、安静時血圧で補正しても運動器関連の点数と関連していた.
【結論】
フレイル患者では、非フレイル患者と比較して、安静座位での血圧が低く、起立直後の収縮期血圧低下が少なく、起立後1分での収縮期血圧が大きく上昇した.起立時の血圧上昇には、特に運動器関連での機能低下が関与していた.