第2回臨床自律神経機能Forum
■阿部 敦(株式会社クロスウェル)

クロスウェルが開発採用しているソフト「meijin」の「心拍連動連続解析方式」について述べる。

1.周波数解析手法 FFT(高速フーリエ変換)とMEM(最大エントロピー法)
心拍変動解析はR-R間隔(以下RRI)時系列データを周波数解析して行われる。RRIの周波数解析は,サンプリング間隔が一定となるようにRRI時系列データを補間して波形を求め,この波形を周波数解析してパワースペクトルを求める,という手順で行われる。
LFを0.04Hz~0.15Hzとしたとき,最も長い0.04Hzの周期を含む波形を構成するには1 / 0.04 = 25秒が必要となる。クロスウェル社製心拍変動解析ソフトは,LFを最短かつ十分に表現するため,30秒の時系列データを採用している。
周波数解析においては,FFTやMEMがしばしば用いられる。
FFTとMEMの是非・優劣は別に譲るとして,FFTは投入した波形が永続的に続くことが前提であるため,波形を窓関数にかけて,両端の振幅がゼロになるよう変形して解析する。対してMEMは波形をそのまま解析するという違いがある。

2.自律神経反射評価と窓関数
自律神経反射評価においては,窓関数によって鋭敏性を欠いてしまうことが問題となる。
窓関数によって,波形は両端の振幅はゼロとなる。振幅がゼロであればパワーはゼロであるから,波形両端のパワーは小さく評価される。
このような窓関数の影響は,区間をオーバーラップさせ平均をとることで軽減できるとされるが,パワーの変化が周波数解析に現れるまでにタイムラグを生む。タイムラグは反射評価,とりわけリアルタイム解析においては弱点となる。
他方,MEMは波形をそのまま周波数解析することができるので,この弱点はない。

3.自律神経反射評価における心拍連動連続解析方式の優位性
クロスウェルが開発採用した心拍連動連続解析方式は,30秒のデータ長で,心拍の検知に同期し,周波数解析を窓関数が不要なMEMで解析し,同時に時間領域解析を行うことにより,一心拍ごとの心拍変動解析の動的な評価を可能にした。
さらに,近年のパーソナルコンピューターの演算能力の向上と心拍連動連続解析方法により,リアルタイムに自律神経反射を評価することが可能になった。